『もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。』シリーズ販売終了について 作者より

このことについてあまり語りたくないなと思っておりましたが、そういうわけにもいかないと思い直し、私から説明を。
とは申したものの、どこから説明すればいいのか悩みます……、おそらく『魔王城殺人事件』から話さなくてはならないでしょう。

『魔王城殺人事件』は、『天空城殺人事件』に続く『もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。』シリーズの二作目として2017年11月に発売しました。『天空城殺人事件』初期のあとがきにあった――続編を書くつもりはないという言葉を翻したのは、『天空城殺人事件』の評判と売り上げがいいからという単純なものでしたが、その執筆は決して順風満帆ではありませんでした。

このブログやツイッターを覗いていた方はご存じだと思いますが、発売が遅れに遅れ、いつもの倍である半年もの期間を費やしたあげく、練度も上がらないままKDPにて出版したものになります。端的に言えば、その当時の私は心身共に参っていました。環境が変わり、悪いことが立て続けに起き、体重にして20キロ近くも落ちて、今思えば執筆できるような状況ではありませんでした。
さっさと手放して楽になりたいと思い、完成度の低いまま出したわけですが、それがかえって心の靄となり、早めに書き直さなければならないのだけど……という心境に。
しかしながら、今日まで書き直しどころか、本文の読み返しすらできておりません。それは、どうしてもその日々のことを思い出して、拒絶反応がでるからです。私は、『魔王城殺人事件』が嫌いです。だからこそ好きな作品になるように書き直さなければいけないのですが、どうしてもそれができませんでした。

そういう風に『魔王城殺人事件』について悩んでいる時期に、ありがたいことに、『天空城殺人事件』のPrimeReadingが始まり、その『天空城殺人事件』にMFブックスから書籍化のお話をいただきました。本来なら、ここで『魔王城殺人事件』を書き直さなければならなかったのですが、原作のストックが少ないという理由をつけて、『地底城殺人事件』を書くことを私は選択しました。出版後数ヶ月が経っていましたが、『魔王城殺人事件』を書き直す気持ちがまだ湧いてこなかったのです。

『魔王城殺人事件』も『地底城殺人事件』もよく読まれました。ただ、評判が芳しくありません。
そうして、『天空城殺人事件』がMFブックス版の発売にともないKDPセレクトから外れると、三作とも売り上げは急降下し、全盛の10分の1まで落ちることになりました。『天空城殺人事件』を99円にするなど南郷が色々と手を打ってくれましたが、歯止めをかけるには至りませんでした。
こうなると、『魔王城殺人事件』を書き直すことも、四作目『竜宮城殺人事件』を書くことも憚れます。シリーズ一作目の『天空城殺人事件』がKindleUnlimitedで読めない以上、売り上げが望めないからです。

〝100捧げたら100返ってきて欲しい〟というのが私の考え方です。それは売り上げでもいいですし、面白かったのひと言でも構いません。頑張った分だけの報酬が欲しいわけです。むろん、どれだけ頑張ったかなんて読者からすれば関係ないことで、作品の面白さが絶対的な基準なわけですが、見返りが少ないであろうものに時間や労力を捧げるのは辛いことです。ましてや、私は『魔王城殺人事件』もおそらく『竜宮城殺人事件』も嫌いです。

書き直しはしない。
こう決めると今度は、今出版しているものがとても不誠実なものに思えます。誰にも読んで欲しくないと思うようになり、前置きが長くなり恐縮ですが、今回こうして販売を終了といたしました。ようやく肩の荷が下りた心地がします。

三作とも発売にあたり、多くの方の尽力がありました。編集と出版業務の南郷にはもちろんお礼とお詫びを申し上げなければなりません。
特にイラストを担当していただいたはぎや様には、名を記してお礼を。――ありがとうございました。

最後に、シリーズを応援してくれていた読者の皆様に。
ありがとうございました。
そして、ごめんなさい。
『もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。』シリーズは終わりとなりました。


2019年4月4日 八槻翔

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